2026年6月3日。
このたび、TRANS-CARRY®最大の特徴である
「消えるキャスター(キャスター格納構造)」がついに【特許登録】となりました。
開発期間2年。
構想から含めると約3年。
一人の旅人として抱いた違和感から始まった挑戦が、
ようやく一つの形になりました。
今日は、この技術が生まれるまでの裏側、
ストーリーをお話ししたいと思います。
全ては旅先で感じた違和感から
私はこれまで20か国以上を旅してきました。
その中で、ずっと抱いていた疑問があります。
なぜ旅は、
スーツケースかリュックの二択なのか。
広い空港や長距離移動ではキャリーが楽。
でも階段や人混みでは、むしろ邪魔になる。
逆にリュックは身軽だけれど、
荷物が重くなると身体が本当にツラい。
旅のシーンによって
最適な移動スタイルは変わるのに、
それを自由に切り替えられるバッグがない。
その不自由さを感じるたび、
「もっと自分らしく、全力で旅を楽しめる方法があるはずだ」と本気で想っていました。
だったら、自分で創ろう。
そうして、TRANS-CARRY®の開発が始まったのです。
試行錯誤の始まり
とはいえ、当時の私はバッグ開発の知識もなければ、人脈もありません。
だから、まずはひたすら自分の手を動かしました。
何十枚ものスケッチを描き、段ボールで試作品を作り、
アイデアを形にしていく日々。
理想を考えるのは楽しい。
しかし、実際に形にしてみると課題だらけでした。
思ったように動かない。
使いにくい。強度が足りない。
一つ解決すると、また新しい問題が現れる。
それでも試行錯誤を繰り返し、エンジニアである父の力も借りながら、
約3か月かけて、「消えるキャスター」の原型が完成しました。
ですが、それはまだ序章に過ぎなかったのです。
運命の出会い
次に必要だったのは、
それを実際に製品として形にしてくれるパートナーでした。
ネットや知人の紹介を頼りに、
数えきれないほどの工場へ相談しました。
しかし、返ってくる答えはほとんど同じ。
「難しい」
「前例がない」
「うちではできない」
当然だったと思います。
実績はゼロ。持っていたのは熱意と段ボールの試作品だけでしたから。
それでも諦めずに声をかけ続けた結果、
ついに一社だけ、想いに強く共感してくれるパートナーに出会いました。
「面白い。これはいける。」
自分の思い描いていた世界が、初めて誰かに伝わった瞬間でした。
狂気の日々
しかし、本当の戦いはそこからでした。
機構そのものは形になっても、
それをバッグの一部として組み合わせ、成立させるのが想像以上に難しかったのです。
見た目が悪い。
磁石がうまく合わない。
布との相性が悪い。
課題は次から次へと現れました。
毎晩のようにパートナーと議論を重ねに重ね、
ふと時計を見ると日付が変わっている。
お互いに仕事という感覚は、もうほとんどなかったです。
子どもがゲームや秘密基地づくりに夢中になるように、
「もっと良くできる」
「まだ納得できない」と
時間を忘れて、没頭し続けました。
時には意見が激しくぶつかることもありました。
でもお互い、それほどまでに
このアイデアと未来に心の底からワクワクしていたのです。
どうすれば実現できるのか。
どうすればもっと良くなるのか。
毎日、そのことばかり考えていました。
最大の壁
そんな試行錯誤の中で、最も大きな壁となったのが、
キャスターとバッグ本体を繋ぐ連結部です。
耐久性、軽さ、見た目。
その全てを両立させなければなりません。
最初はドアに使われるようなヒンジを試しました。
しかし、バッグに組み込むと布の厚みの影響で綺麗に収まらない。
そこで構造を見直し、回転軸を増やして可動域を持たせる方法に変更しました。
機能的には解決しました。
だが、今度は見た目が良くない。
連結部のヒンジが露出し、どうしても無骨な印象になってしまったのです。
そこで最終的に辿り着いたのが、現在の「布で連結する構造」でした。
キャスターを収納すると連結部は布のため、バッグと完全に一体化する。
見た目も機能も、まさに理想そのものでした。
でも、布だと強度が心配じゃないか?
私たちも当然そう思いました。
だからこそ何度も走行試験を行いました。
十数キロの荷物を入れ、繰り返し負荷をかけ続ける。
それでも破れない。
ほころびすら起きない。
1680Dナイロンという高強度素材を採用していることに加え、
衝撃を「点」ではなく、「線」で受ける構造にしたことで、
十分な耐久性を実現できたのです。
こうして数え切れない失敗と改善を繰り返しながら、
「消えるキャスター」は、ついに完成。
そして今回、その技術が特許として登録され、
私たちの挑戦が一つの形として認められることとなりました。
アイデアより大切なもの
この2年間を振り返って思うことがあります。
それは、本当に大切なのはアイデアそのものではないということです。
開発パートナーから、こんな言葉をいただいたことがあります。
「良いアイデアを持つ企業はたくさんある。
でも最後までやり遂げる企業は、ほんの一握りだ。」
まさにその通りだと感じています。
アイデアだけなら、既に誰かが思いついていたかもしれない。
でも私は、一人の旅人として、"どうしても"欲しかった。
だから何があっても、諦めなかった。
その燃えたぎる熱量、そして想いが家族やパートナーに伝わり、
気づけば多くの人を巻き込みながら形になっていったのだと思います。
WIMとは。
私たちには大企業のような資本もありません。
豊富な人材や長年のノウハウがあるわけでもありません。
それでも絶対に負けないものがあります。
それは、旅から生まれる原体験と圧倒的な熱量です。
WIMのメンバーは、本当に旅が好きです。
新しい景色。
新しい食べ物。
新しい出会い。
旅には人生を豊かにする力が、確実にあります。
だから私たちは、旅をもっと自由に、もっと自分らしく楽しむための道具を作り続けたい。
常に現場に生きるからこそ、真なる課題に気づく。
そして、自分たちにしかできない方法で解決する。
その積み重ねが、WIMならではの”ものづくり”です。
今回の特許取得は決してゴールではありません。
むしろ、新たなスタートです。
これからも、世の中にない価値を本気で創り続けていきます。
次は、もっと面白い景色をお見せします。
そして、その旅路を、ぜひ皆さまと共に歩んでいきたいです。
WIMの未来を、どうか楽しみにしていてください。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
WIM代表
戸部 海渡



分享:
【徹底検証】トラキャリと熱狂タイ旅
【新発売】専用パッキングキューブ